みなさん日々の生活ご苦労様です。
ギョーテンです。
今回は、秋の夜長のお供にと、何冊か購入した本の1つ、「幼児教育の経済学(著:ジェームズ・J・ヘックマン)」について、読んだ感想を記事にします。
書籍「幼児教育の経済学」とは?
”なぜ幼少期に積極的に教育すべきなのか? 幼少期に適切な働きかけがないと、どうなるのか? 早い時期からの教育で、人生がどう変わるのか? 子供の人生を豊かにし、効率性と公平性を同時に達成できる教育を、経済学の世界的権威が徹底的に議論する。
Amazon商品紹介ページより(https://www.amazon.co.jp/%E5%B9%BC%E5%85%90%E6%95%99%E8%82%B2%E3%81%AE%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BB%EF%BC%AA%E3%83%BB%E3%83%98%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%83%B3/dp/4492314636)
著者のジェームズ・J・ヘックマン氏は、2000年にノーベル経済学賞を受賞した経済学者です。
本書では、アメリカにおける各家庭の追跡調査結果をもとに、就学前の幼児に対する教育の質が子供の成長を改善し、彼らの将来の学業や働きぶり、社会行動に肯定的な影響をもたらすことを解説しています。
※Amazonでは、単行本と電子書籍(Kindle版)両方取り扱いがあります。
本書の構成
本書は、大きく4つのパートに分かれています。
パートⅠ | 著者による「就学前の幼児に対する教育」の重要性と、教育の機会を公平に 与えるためにどうすべきかという主張 |
パートⅡ | 教育学や経済学に関する各分野の専門家たちから、パートⅠで著者が主張した 内容に対するコメント(というか、主にダメ出し) |
パートⅢ | パートⅡを踏まえて、再び著者のコメント(というか、反論) |
パートⅣ | 日本の経済学第一人者による、本書の解説……というより、 『本書の内容を日本にあてはめるとどうなるか』の解説 |
本書はあくまでも、「アメリカの家庭」について語られているため、パートⅠ~Ⅲを読むだけでは、「いうて、アメリカと日本じゃ環境が全然違うじゃん」と思われるかもしれませんが、最後のパートⅣにて、本書の内容を日本にあてはめて考えるなら、というポイントをわかりやすく解説いてくれていまます、それこそ解説してくれています。
読んだ感想
まず、本書の構成がとても面白かったです。
こういった、学問的な本を読むことがほとんどないのですが、個人的なイメージとして、著名な学者が自身の提唱する論理を長々と主張して終わり、という構成が多いと思っていました。
しかしながら、本書は、まず初めに著者が主張した論理に対し、第2部で10人もの各分野の専門家から、
「言っていることは間違っていないが、この点は訂正してほしい」
「その主張には、この点について考えが足りていない」
などなど、いわゆる「愛あるダメ出し」のオンパレードで、読んでいて面白かったです。
1人の論理が長々と解説されるよりも、本書のように、違う人間の目線の意見も紹介してくれると、「そういった考えもできるのか……」と、視野が広がりますので、1冊の本でなんだか何冊も本を読んだようなお得感があります。
内容については、大きくいえば
- 子どもの成長は、幼少期の介入の質に大きく影響される
- 幼少期の介入とは、いわゆる学校の成績の向上といった認知能力ではなく、忍耐力のような非認知能力の向上が重要になってくる。
- アメリカで大規模に行われた追跡調査でも幼少期の介入の裏付けがなされている
- 優秀な人材が育つことは社会の利益であり、幼少期への介入に関する投資は将来性あり
- 今後は、限られた資源を幼少期への介入に配分する判断が求められている。
ということが、過去の調査結果や論文の根拠に詳しく紹介されています。
個人的にこの本で得た知識は、「幼児教育への介入(質の向上)は投資先として将来性が高い」という考えです。
幼児期のしつけや教育がその子の人格形成に大きく影響するというのは、なんとなくの知識で理解していましたが、それを「投資」としてとらえるというのは目から鱗でした。
子どもに労力を費やすことは、投資であり、将来的に社会の、ひいては、自分の利益となる。
と、考えることは、幸福なことと同時に大変な思いもたくさんある子育てを頑張るモチベーションの1つになる考えかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回紹介した本は、直接子育てに役立つような知識を与えてくれるようなものではありませんが、自分や皆さんが頑張っている子育てというものが、経済的観点から見ても、社会にとってとても重要なものである、ということを証明してくれています。
こういった、俯瞰的に子育てを説明した本というのはあまり触れる機会がないかと思います(最近はこの手の本が増えてきているみたいですが)ので、興味ある方は一度手にとってはいかがでしょうか。
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