みなさん日々の生活ご苦労様です。
ギョーテンです。
今回は、ロードレース名解説者でおなじみ、栗村修氏の新刊「栗村修のいちばん身につく最強ロードバイクトレーニング(以下、本書という。)」を紹介したいと思います。
ただ、本の内容はぶっちゃけトレーニング本ではありませんでした。
著者「栗村修」氏について
一般財団法人日本自転車普及協会主幹調査役
本書の著者近影より
1971年12月30日、神奈川県生まれ。
中学生の時にTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ入る。17歳で高校を中退し、本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。豊富な経験を生かしたユニークな解説で多くの人たちをロードレースの世界に引き込む。現在はツアー・オブ・ジャパン大会ディレクターとしてレース運営の仕事に就いている。
日本のロードレースファンの間では知らない人はいない、おもしろ解説者。
ただ面白いだけでなく、豊富な知識と分かりやすい語り口のおかげで、ゆうに5時間を超えるロードレースを楽しく視聴できる。
最近はYouTuberデビューも果たし、活躍の場をどんどん広げているようです。
何を隠そう、自分も栗村氏の解説の面白さで、ロードレースを観始めた口。
本書の構成
主に、本書はプロローグを含めて5つの章で構成されています。
各章のタイトルと、どんなことが書かれていたか、ざっくり紹介します。
プロローグ
日本ロードレース界の中心にいる栗村氏が見た、日本のホビーレーサー達の今について、思うことが書かれています。
Part1 ベーストレーニングとコンディショントレーニング
日本のホビーレーサー達のトレーニング方法に警鐘を鳴らしています。
同時に、ベーストレーニングの重要性について解説しています。
Part2 トレーニングを始める前に、自分を知ろう
トレーニングを継続し、質を高めていくために、モチベーションの重要性について解説しています。
Part3 まず、アスリートになろうー生まれ変わるベーストレーニングー
Part2で解説したベーストレーニングについて、自転車に乗るという特異性の観点から、より詳しくその重要性を説明しています。
Part4 トレーニングは「順応」だー確実に速くなるコンディショニングトレーニングー
ここでようやく、コンディショントレーニングについて解説しています。
といっても、トレーニングメニューを紹介するわけではなく、「コンディショントレーニングは、具体的にレース中のどのような場面を想定すべきか」を、プロの実例を交えて説明しています。
感想
記事冒頭でも書きましたが、この本はトレーニング本ではありません。
本書の帯には、「1日30分でOK! もっと速くなる最新トレーニングメソッド公開!」とありますが、そんな内容は本書のどこにもありません。
実際に、本書のプロローグではこのように書かれています。
〔中略〕形や数字にとらわれて、それらを目的だと勘違いしないでください。それらは手段にすぎません。本質は別のところにあるんです。
本書より抜粋
まだるっこしいな。そんなことより、毎日30分のトレーニングで速くなれる科学的な高強度メニューを教えてくれ! そんな声が聞こえてきそうです。
タイトル詐欺もいいところです。
ただ、栗村氏は続けて、こう述べています。
大丈夫。慌てないでください。この本は、本当の意味で速くなるための本でもあります。
本書より抜粋
読み終えた感想として、この本は、「ロードバイクトレーニングとホビーレーサー」を題材とした、サステナブル・ライフスタイル(持続可能な生活習慣)を紹介した本でした。
最近は、グラベルバイクやeバイクの登場で、「レース以外のロードバイクの楽しみ方」も広がってきています。
それでも、レースで勝つことを目的にロードバイクを趣味で楽しんでいる人たち、いわゆる、ホビーレーサーはまだまだロードバイク業界の大多数を占めています(自分もその一人ですが)。
そんな人たちに向けて、自身が日本ロードレース界の中心にいる栗村氏が本書でこう訴えているのです。
その生き方、疲れませんか? と。
わざわざタイトル詐欺という罠で誘い込んでまで。
これは、栗村氏から見て、今の日本ロードレース界が進む方向が危険であると危惧したということでしょう。
最近、栗村氏がメディアで発信し続けている「ロードレースの安全性の向上」というのも、関係しているのかもしれません。
ロードバイクという趣味を、単なる一過性の趣味としてではなく、末永く、持続可能な趣味として楽しんでもらいたいという思いが本書には溢れていました。
本書は、トレーニングに取り組む前段階、
そもそも、巷で流行ったいるトレーニングって、なんのためにやるのか?
その根本的な知識を授けてくれることに丸まる1冊費やした、といっても過言ではありません。
ある意味、「ロードレースで速く走るためのスキルやトレーニング方法が知りたい人」に強くおすすめしたい内容でした。
もちろん、これからロードバイクを始めようと考えている方にもおすすめです。
ロードレースの解説と同じく、優しく、かつ、面白く文章が満載ですので、単純な読み物としても非常に読みやすい内容となっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
上の感想で書いたとおり、この本は具体的なトレーニングメニューはほとんど書かれていません。
ただ、トレーニングに取り組むために、自分の中の柱になる大事なことが書かれています。
最近ロードバイクを買って、いまからトレーニングを始めようとする方、レースの成績が伸び悩んで、いまいちモチベーションが上がらない方、両方の方にお勧めできる本です。
栗村さんの解説が好きな方は、きっと抵抗なく、楽しく読めると思います。
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