みなさん日々の生活ご苦労様です。
ギョーテンです。
今回は、自転車を選ぶうえでの教科書と言えなくもない本「オールロードバイク・レボリューション」のご紹介。
自転車好きにとって、指針となるような内容が満載でしたので、紹介させてください。
購入した経緯
自分が本書、「オールロードバイク・レボリューション」の存在を知ったのは、cyclowiredさんの紹介記事でした。
cyclowiredさんで書籍の紹介をするのは珍しいなと思って、ネットで調べてみると、Cycle Sportsさんでも紹介されているではないですか。
日本の自転車2大メディアがこぞって紹介するのだから何かあるのだろう、と、思って興味を持ったのが購入するきっかけです。
参考ページ:ヤン・ハイネ著「オールロードバイク・レボリューション」 舗装路からグラベルへ 1台で駆け抜ける速く快適な自転車の科学(cyclowired)
著者「ヤン・ハイネ」氏とは?
著者のヤン・ハイネ氏は、自転車タイヤ/パーツブランドのRené HERSE(ルネ・エルス)を主宰し、季刊のサイクリング雑誌『Bicycle Quarterly(バイシクル・クォータリー)』編集長でもあります。
自身熱心なサイクリストで、2007年の「パリ~ブレスト~パリ1200km」で北米からの参加者中、最速記録(49時間59分)でゴールするなど、相当な走力の持ち主でもあります。
Bicycle Quarterlyのバックナンバーは、‘René HERSE’の公式HPから購入可能ですので、気になった方は読んでみても良いかもしれません。
参考ページ:René HERSE公式HP
読んでみた感想と気になったフレーズ
感想
本書を手に取った際の第一印象は、「手書きの研究ノートみたいだ」です。
中身は見出しと本文の非常にシンプルな構成で、時折、手書きのイラストやグラフがページの空白に華を添えています。
文章自体は、大げさな誇張表現や、文字色と大きさを変えての強調表現があるわけではなく、ただ淡々と、自転車を構成する各要素について解説しています。
一見すれば面白味のない文章ですが、その内容は深い考察で溢れていて、時には、巷で言われているような自転車の通説を覆す事実を突きつけてきます。
気づけばページをめくる手がはやる気持ちを抑えられなくなっていました。
自転車を選んだり、愛車のカスタムを考える時、誰もが一度は思い浮かぶであろう疑問ひとつひとつを考察し、結論づけていく内容は、さながら研究者の論文を読んでいるようでした。
その観点は自転車を構成する要素のほとんど網羅していて、本書で言及していないのは、ライダー自身の肉体トレーニングか栄養学くらいではないでしょうか。
ちなみに、自転車のトレーニングや栄養学方面の情報も知りたいという方は、元自転車ロードレース全日本タイムトライアルチャンピオンの西薗良太氏が翻訳した、「サイクリストのためのストレングスとコンディショニング」と「世界最高のサイクリストたちのロードバイク・トレーニング」がおすすめです。
こちらも、ロードレースにおける最新のトレーニングや栄養学について、科学的に解説されています。
「サイクリストのためのストレングスとコンディショニング」は、当ブログでも紹介していますので、興味があればご覧ください。
自転車のメディアでは、フレームと各種パーツの性能に関する評価を単体で紹介することが多い印象があるのですが、本書ではそれを否定しています。
フレームは、自転車の見た目や乗り味を決めるために重要な要素ではあるが、それだけで自転車のパフォーマンス(本書では、『早く走るだけではなく、あらゆる天候や路面状況に対応できる性能』と定義しています)は確定しない。
フレームと、各種パーツの構成によってパフォーマンスは良くも悪くも変化する、とあります。
本書を読み終わった後に頭に浮かんだのは、「じゃあ、いったいどう自転車を選べばいいんだ? どう愛車をカスタムすればいいんだ?」です。
ホイールは何にしよう?
ハンドルはどの幅がよいかな?
サドルは穴あきでないとお尻がいたくなるのかな?
今の世の中、信じられないくらいたくさんのパーツで溢れています。
正解は自分が決めるしかありませんが、自分が求める自転車を探し求めている人にとって、本書は確かな道標になります。
本書は、一度読んで終わり、とするのはもったいないです。
むしろ、買ってすぐに読まなくてもいいです。
ただ、是非自分の本棚に1っ冊置いておいて、自分の愛車をカスタムしたり、新しく買いたいと思った時に開いてほしい。
そんな本でした。
気になったフレーズを一部紹介
本書の中で、気になった内容の一部を紹介します。
その下に自分の所感も書いておきますので、これを読んで興味が出た方は、本書を買う価値があると思います。
エアロホイールは自転車とライダーの受ける空気抵抗の2~3%しか減らすことが出来ない。
オールロードバイク・レボリューション(ヤン・ハイネ/山と渓谷社)
エアロロードが出始めたころは、「自転車は走行時の空気抵抗全体の20%しか影響しない」と言われていましたし、ホイールだけ見ればこの数字は納得です。
様々な試みにも関わらず、硬いフレームがライダーのペダリングのパワーをより効率的に伝達するとは証明されていない。ロードレース選手は、例えや軟らかくても、軽量なフレームを好んできた。軽量であるということは、素材が量的に少ないということであり、フレームの剛性が低くなることを意味する。〔中略〕競輪選手という超強力なスプリンターでさえ、多くの場合、標準径で肉薄な部類に入るチューブで組み上げた比較的軟らかいフレームを好む。そのような比較的しなりやすいチューブが競輪選手に適しているならば、一般のライダーにとって、それらは十分すぎるほど剛性が高いフレームということになる。
オールロードバイク・レボリューション(ヤン・ハイネ/山と渓谷社)
自分の最近気になっていることで、「競輪選手がクロモリに乗っているのは、ちゃんと時代に合っているのか? クロモリの方が剛性が高いのか? それともスピードを制限して安全性を考慮しているのか?(規則も多分に関係しているでしょうが)」という疑問に答えが提示されたようで、少しすっきりしました。
サスペンションステム、パッド入りバーテープは振動発生源から遠く、サスペンションフォークよりも振動を減衰させる効果は低い。自転車のフロント部分は、全体が上下に動いてしまうので、それに伴うエネルギーを吸収することは事実上不可能だ。
オールロードバイク・レボリューション(ヤン・ハイネ/山と渓谷社)
TREKがフロント部分の振動減衰機構を廃止したのはこういう理由もあるのかな、と妙に納得しました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本書の内容が絶対的に正しいとは限りませんが、新たな気づきを与えてくれること間違いなしなので、興味のある方は是非読んでみてください。
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