みなさん日々の生活ご苦労様です。
ギョーテンです。
いま、自分の中で木製ロードバイクが熱いです。
ひと昔前の木製ロードバイクは、お世辞にも見た目が良くないものが多かったのですが、最近はカーボンフレームに劣らないほど魅力的なものが出てきました。
世間では気候変動による社会への影響がよく取り上げられていて、CO2の排出量が少ない木材への注目度も高まっていきています。
コロナ禍で自転車需要の高まりも相まって、「木製ロードバイク(自転車)」というジャンルは今後トレンドに上がってくるのではと予想しています。
なので、今回は木製ロードバイクの特性や、自分が見つけたかっこいい木製ロードバイクを紹介します。
木材の特性
まずは、木材の一般的な性質を簡単に紹介します。
軽くて強い
木材は、鉄やコンクリートと比べて比強度(異なる素材を同じ重さで比べた強度)が非常に高いです。
引張強さ(壊れにくさの指標)を比べると、木材は鉄の4.4倍、コンクリートの225倍も高いです。
さすがに軽さにおいてはカーボン素材に負けますが、自転車の素材としては十分な強度を有しています(カーボン素材もピンキリなので一概には言えませんが)。
加工がしやすい
木材は、とても加工しやすい材料です。
金属やカーボンを加工するためには、特別な機械や大掛かりな設備が必要になりますが、木材は極論、のこぎりやナイフ、のみといった刃物さえあれば、切る、削る、彫るなどの加工が簡単にできます。
また、木材は自由に曲げて成型することが可能です(もちろん技術と手間は必要です)し、接着剤を使用すれば厚みも自由自在ですので、カーボンフレーム同様、フレーム形状の設計において自由度は非常に高いです。
衝撃吸収性が高い
木材の内部は中空構造といって、パイプ状の細胞が集まってできていて、その一つ一つに空気を含んでいます。
衝撃が加えられると、まず表面の細胞がつぶれ、次の層の細胞、その次の細胞がつぶれるというように、加えられた衝撃を跳ね返すまでに、ある程度の時間を要します。
衝撃力の大きさはそれが跳ね返るまでの時間に反比例するため、時間のかかる木材は衝撃力が弱まる、つまり、衝撃を吸収しているということになります。
なので、ロードバイクの性能を語るうえで重要な指標となる振動吸収性についても、木材は、非常に魅力的な素材です。
時間がたつほど強度がます
鉄やアルミ、カーボン素材は通常、制作時点が最も強度が高く、古くなるにつれて劣化していきます。
逆に木材は、時間が経つと乾燥の度合いが高まり、強度が増すという性質があります。
例えば、樹齢100年のヒノキの場合、伐採されてから100年から200年もの間、圧縮や引っ張り、曲げに対する強度が高くなり続けます。
その後強度は低下しますが、1000年後にようやく伐採された時の状態に戻る、というレベルの話だそうです。
チタンフレームのロードバイクを「一生モノ」と評する方は多いですが、木製フレームは文字どおり「一生モノ」のフレームになる可能性があります。
ワインのように、「〇〇年モノ」というヴィンテージ製品としての価値を持ったロードバイクが誕生するかもしれません。
消臭・殺菌作用のある成分を放出し、リラグゼーション効果がある?
木は、傷口を守るために殺菌したり、害虫などを近寄らせないようにする物質「フィトンチッド」を放出します。
ダニや蚊などの害虫にとっては有害な物資ですが、人間にとっては様々な効果があるそうな。
しかも、「フィトンチッド」は伐採されて木材状態になっても変わらず放出され続けるそうです。
フィトンチッドによる効果 ※根拠は未確認
- リラクゼーション(精神の安定)
- 大脳皮質の活性化
- 高血圧の抑制
- 神経系の緩和
- 皮膚病・呼吸器系疾患の改善
- アレルギー性疾患の予防、回復ほか
- 殺菌(除菌・抗菌)作用
- 消臭効果
- 防虫効果
ロードバイクは室内保管が一般的です。
木製ロードバイクを室内に保管することで、上に書いた効果が得られる、かも、しれません。
そうすれば、高価なロードバイクに反対している家族への交渉材料に使える、かも、しれません。
※本ブログは上記健康効果を保証するものではありません。
木の種類によって性質が異なる
木は、その種類によって、性質が全く違います。
比重(水と比較してどれだけ重いか)をとっても、0.12~1.31と、およそ10倍近く違いがあります。
また、同じ種類の木でも、生息している地域によって異なる性質を持つこともあるため、木製ロードバイクの可能性は無限大に広がるのではないでしょうか。
木製フレームのビルダー(木工家?)を紹介
木という素材について知ったところで、自分が最近気になっている木製ロードバイクを制作している方々を紹介します。
木製ロードバイクを作成されている方々は、スチールフレームのフレームビルダーのように自転車を制作するための専門技術を学んだ人、というわけではなく、木造船や家具、ギター、バイオリンなど、自転車とは関係ない木材製品を制作して培った技術をもとにロードバイクを制作している、という背景の方々が多いようです。
異業種からの新規参入があるというのは、業界の活性につながるので大変喜ばしいことです。
SANOMAGIC(マホガニーバイク)
おそらく、日本で最も有名で、高価な木製ロードバイク。
木造船を建造されていた佐野末四郎(さのすえしろう)氏が、造船で培った技術を活かしてロードバイクを制作されています。
フレームだけではなく、フォーク、ハンドル、サドル、はてはホイールまですべて木製というとんでもっぷり。
見た目が芸術的すぎて、観賞用かな? という印象を受けますが、オーナーがMt.富士ヒルクライムやアイアンマンレースに出場してしっかり完走したりと、非常に実用的な性能を持っているようです。
公式HPでは制作工程が都度アップされていますので、興味のある方は下のリンクからどうぞ。
非常に読みごたえがあります。
納期や価格について、HPに正式な記載がありませんが、ネットに散見する情報を見る限り、1台約200万円、納期も年単位で待ちが発生しているようです。
参照ページ:SANOMAGICー佐野末四郎の世界
椿工藝舎(Wood Performance Bike)
神奈川県と千葉県に工房を構えておられる木工家が制作されているバイク。
「楽に、長い距離を走る」をコンセプトに日々改良を進めているとのこと。
工房の業務内容を見ると、
- エレキギター・アコースティックギターの製作・修理・調整・販売
- 木工品の製作と販売
- 革工芸品の製作と販売
- 帆布製品の製作と販売
- ギター製作指導
- マイコンシステムの設計と開発
- Webシステムの設計と開発
- iOSアプリケーションの設計と開発
と、木工品以外にもコンピューターのソフトウェアやマイクロコントローラーを使ったシステム作りも手がけているようで、非常にマルチな能力を持っておられる方です。
SANOMAGIC同様に、木製ロードバイクの制作過程を全てブログに公開されておられますので、読むとどのような経過を辿っていまの形に行きついたのかがよくわかります。
SANOMAGICとの違いは、ユーザーのカスタム域やメンテナンス性も考慮して、フレーム以外は全て汎用パーツを使用することを想定して設計されているところです。
リムブレーキ、ディスクブレーキ両モデルを制作したり、今年の9月に発表された新型DURA-ACE(R9200系)に対応したフレームも考察を進めたりと、日々アップデートを重ねられています。
2021年10月現在、製作には約2ヶ月かかるそうです。
ただし、シマノ製部品の入手に時間がかかるため、モノによっては3~6ヶ月要するとか。
価格は、公式HPに掲載しているモデル(WP1、WP1 Disk)の完成車価格で65~70万円。
おおまかなパーツ構成は、以下のとおり。
- 国産木材使用(漆仕上げ)
- R7000シリーズのコンポーネント
- Columbusフルカーボンフォーク
- ミドルグレードの軽量ホイール
- アルミ製のハンドル、シートポスト、ステム
ジオメトリ―はユーザーに合わせてオーダー可能とのこと。
試乗車もあるとのことですので、近くにお住まいの方で興味があれば訪ねてみてはいかがでしょうか。
参照ページ①:Wood Performance Bike公式HP
参照ページ②:椿工藝舎ブログ※木製ロードバイク製作記録はコチラ
GASTABOY
自分が木製ロードバイクに興味をもつきっかけになったバイク。
2019年にフランスで設立された工房の作品。
制作者は、家具職人を養成する学校で木工技術を学んだのち、GASTABOYを設立したとのこと(Google翻訳による読み取りなので、詳細は不明です)。
フレームの構成は、Wood Performance Bikeと同様に、フレーム以外は汎用パーツで構成されているので、ユーザーフレンドリーな設計をされています。
GASTABOYの特長は、そのデザイン性です。
フランスのサイクルアパレルブランド「G4」のイメージに登場したりと、注目度はかなり高いです。
商品化はされていないようですが、トライアスロンバイクも制作されていて、大会で入賞するなどの実績があります。
納期は不明ですが、価格は完成車で65~70万円。
フルオーダーにももちろん対応しています。
日本への発送が可能かどうかは不明ですが、今後に期待です。
参照ページ:GASTBOY公式HP
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回ご紹介した方々以外にも、木製ロードバイクを制作されている方々はたくさんおられますので、自分で探してみるのも良いかもしれません。
木製ロードバイクの可能性についてはまだまだ未知数ですが、カーボンからスチールフレームへの回帰が叫ばれているように、レース以外の楽しみ方が増えてきた今では、選択肢の1つに入れても良いのではないでしょうか。
これからドンドン新しい木製ロードバイクが増えることを期待したいと思います。
※おまけ
GASTABOYのinstagramをチェックしていると、固定ローラー用のフレームも作成されていました。
Zwiftなどバーチャルサイクリングが注目を浴びている中、室内トレーニング用のサイクリングウェアも各アパレルから発表されています。
今後は、「室内ローラー用のフレーム」なんてものもトレンドになるかもしれません。
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